研究概要 |
【背景・目的】 Bacterial translocation(BT)発症予防は臨床現場では重要であり、本研究でそのメカニズムの解明を行う。 【方法.結果】 CPT-11投与による腸管傷害モデルとして、Wister系ラットにCPT-11を250mg/kgを腹腔内投与(0,24時間)した。2回目投与後24時間後に犠死させて腸間膜リンパ節を培養しBTを確認した。腸管(小腸、大腸)を摘出し電気抵抗、腸管内のサイトカインを測定した。またWestern blot法とRT-PCRでTight junctionの変化(Claudin-1, Occlusin-1, ZO-1)を測定した。結果はコントロール群(生理食塩水を腹腔内投与)と比較して検討を行った。腸管傷害モデルにおいて、下痢の有意な発症およびBTの発症を認めた。腸管内の炎症性サイトカインを測定したところIFN-γ、TNFαの上昇が認められた。また体重減少、腸管粘膜障害、小腸電気抵抗上昇、大腸電気抵抗低下、TJタンパク発現減、Claudin-1, Occludinの低下を認めた。ZO-1は変化を認めなかった。炎症性サイトカインでは漢方薬である大建中湯を投与することで発現が有意に抑制された。 【結論】 CPT-11投与により、BTが発症しておりその機序にTight junctionの傷害やトランスセルラールートが関与していることが確認されあらたなメカニズムとして期待される。
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