研究概要 |
Microarrayから得られた癌細胞のみに特異的に発現増強・発現減弱するリンパ節転移関連遺伝子情報をもとに生検標本の蛋白発現を検討し,画像診断だけでは捉えられない,リンパ節転移予測の診断を行うことを高発現遺伝子群の産物蛋白発現を切除標本内で確認し,発現分布状況およびリンパ節転移との関連性を検討し,臨床応用への候補分子を集積する.術前に生検標本が得られ,根治切除手術症例の切除標本・郭清リンパ節のプレパラートが得ることのできる食道扁平上皮癌で,同意が得られている症例を対象とする.Microarryの結果で得られたリンパ節転移関連遺伝子のなかで発現増強していた上位5遺伝子の蛋白発現を,免疫染色法で,切除標本の蛋白発現を検索した.また,リンパ節転移については,通常の病理検査だけでなく,切除症例の郭清リンパ節の微小転移の有無についてCytokeratin AE1/3抗体による免疫染色法も用いて検索した. その結果,以下の知見が得られた.1. 進行食道癌の術前補助療法を行った症例と術前未治療の症例との間でリンパ節微小転移は,有意に術前補助療法を行った群が少なかった(P<0.01).予後については有意差を認めなかった.2. 高発現遺伝子SPP-1の産物であるOsteopontinの蛋白発現は,根治切除標本において,有意にリンパ節転移とリンパ管侵襲との関連性を認めた.3. Osteopontinの蛋白発現を生検標本の免疫染色により検索し,リンパ節転移と関連性を認める傾向にあった.しかし,症例数がまだ少ないため,さらなる症例の蓄積が必要である. Cytokeratin 14, Ep-cam, Statimin, Co17A1については,切除標本において免疫染色を行いながら,解析中である.
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