研究課題
i)HMGB-1動態:ラット肝虚血再灌流傷害モデルにおいて血中HMGB-1が著明に上昇することを確認済みである。ii)小動物モデル:HMGB-1を制御するためのstrategyを下記のごとく実施、検討予定である。(1)抗HMGB-1抗体。劇的な病態改善効果を確認済みである。(2)HMGB-1阻害タンパクであるHMGB-1 A Boxの遺伝子導入。本学分子生物学教室と共同で本実験用にHMGB-1 A Boxのアデノウィルスベクター(以下Adex-HMGB-1ABox)を作製し、培養肝細胞に遺伝子導入した。培養上清中におけるA boxタンパクの発現ラット肝細胞内におけるタンパク発現を確認している。現在ラット肝虚血再灌流傷害モデルにおける病態改善効果を検討中である。(3)Adex-HMGB1ABoxを培養肝細胞(ラット初代肝細胞、ブタ初代肝細胞、不死化ヒト肝細胞等)に感染させHMGB-1 A Box産生性肝細胞を作製し、さらにこの肝細胞を人工肝臓に内蔵し体外循環下に治療するという手法を予定している。共同研究関係を結んでいる米国マサチューセッツ総合病院外科(Martin L Yarmush教授ら)から小動物用平板型ハイブリッド人工肝臓を供与され、Aboxタンパク産生性ラット肝細胞を樹立するまでに至っている。iii)大動物モデル:臨床応用を念頭に、HMGB-1特異的吸着カラムをブタモデルで稼働させ、カラムによるHMGB-1吸着効果を明らかにした。同カラムによる各種サイトカインの吸着効果はこれまでも報告されていたが、HMGB-1吸着効果は初の報告であり特許を申請中である。また、同カラムにて肝炎誘発後20時間後より4時間治療をしたところ、コントロールカラム(空カラム)群に比べて肝逸脱酵素の上昇抑制や生存率の改善傾向を認めた。今後も治療プロトコールを改変しよりよい治療効果を目指す予定である。
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Shock
巻: 34 ページ: 573-579