研究概要 |
〔平成22年度研究内容〕 胃癌細胞株NUGC-3の5-FU耐性株と親株にmiR143, miR145, miR34aをtransfenctionすると5-FUの感受性が双方ともに上昇した。これらのmiRNAは5-FU耐性の獲得について関与している可能性が示唆された。NUGC-3の5-FU耐性株と親株のタンパクを抽出し、miR143, miR145, miR34aが関与していると考えられる癌関連遺伝子(MDR、e2f1、e2f3、bcl2、cmyc、erk5、sirt1)についてWestern blotを行ったところ、耐性株においてerk5の高発現が認められた。NUGC-3では5-FU耐性にerk5が関与している可能性が示唆された。 また、大腸癌細胞株DLD-1でも同様の検討を行った。まず5-FU耐性株を作成した。miR34aは親株耐性株ともに低下しているが、5-FUの投与にて親株のmiR34aは上昇したが、耐性株はmiR34aの低下が持続した。耐性株でPI3K/Aktの活性化も著明であった。miR34aの標的遺伝子の一つであるSirt1は耐性株で高発現しており、miR34a, siR-Sirt1を耐性株に導入すると、どちらも5-FUの感受性が向上し、Sirt1が薬剤耐性に関与している可能性が示唆され、miR34aがSirt1を標的として5-FU耐性を制御している可能性が考えられた。 〔意義・重要性〕 消化器癌の薬剤耐性のメカニズムを探り、microRNAによって抗癌剤薬剤耐性の解除を行い、抗癌剤感受性の向上につなげ、臨床応用できる可能性が示唆された。
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