研究概要 |
本研究は胸腔ドレナージユニットの役割・機能を根本から改め,多項目の胸腔生理学的指標をリアルタイムで取得・解析可能なシステムに発展させ,積極的な治療・管理手段として多機能デバイス化し,胸腔内の統合的な監視システムを構築することを目的とする.その1つとして「肺空気漏れ量を定量化するための非侵襲的連続モニタリングシステムの開発」について(1)模擬生体を用いた医工学的基礎実験(定量の正確性,再現性の検証)(2)ヒツジ肺を用いた実験(生体への応用,呼吸運動の不均整性への対応能の検証) (3)術後患者への臨床試験(臨床応用能力と機器小型化)を行った.結果は光学法による比較的単純なシステムによって生体に非侵襲的に肺空気漏れ量を測定できること技術を開発した.具体的には,胸腔内圧の経時的変化,肺空気漏れの単位時間量をリアルタイムに定量データ化し,胸腔内の病態を科学的に把握出来る技術を開発した.ヒツジの実験では生体の呼吸によるモニタリング能力を検証し,実用に耐えうる精度を持ったこと,無線LANを用いたデータの中央集約化とベッドサイドモニタ画面への数値,グラフ表示が可能となり,総合的な呼吸生理学的解析が可能になったことが分かった.これらの技術は特許出願をするに至った. 今年は臨床試験の準備をするべく患者が安全に持ち運べるよう仕様変更およびバッテリー装着の工夫を行ったが,被験者が安全に入院生活を送りながらデータを送信するための小型電源確保の方法に難渋した.点滴棒に取り付けて水や転倒から安全性が担保できるバッテリーが確保できる目途がついた. 学内倫理委員会の許可が得られ次第,臨床試験を開始する.
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