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2010 年度 実績報告書

臓器固有幹細胞による術後肺再生療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21791315
研究機関千葉大学

研究代表者

和田 啓伸  千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90514604)

キーワード代償性肺成長 / 組織幹細胞 / II型肺胞上皮細胞
研究概要

肺切除後に残存肺に生じる代償性肺成長の機序についてはいまだ解明されていない。本研究では、7-8週齢雄性Wistar ratを用いて左肺全摘モデルを作成し、全摘後残存肺が経時的に過膨張することを形態学的に証明するとともに、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子解析により、術後早期に限り細胞増殖に関わる遺伝子の発現が増強していること、神経・血管・胸膜などの発生・分化に関わる遺伝子の発現が増強するが、肺胞上皮に関わる遺伝子の発現は変化しないことを確認した。その結果から、「肺切除後残存肺において、術後早期の増殖期に肺胞領域の組織幹細胞を内包するII型肺胞上皮細胞を補充することで肺再生がおきる」と仮説を立て、左肺全摘後翌日に同種ラットから分離したII型肺胞上皮細胞を気道内移入するモデルを作成した。雄をドナー、雌をレシピエントとするsex-mismatch modelを作成し、Y染色体を認識するプローブを使用したFISHおよびリアルタイムPCRで移入細胞の生着を確認したところ、左肺全摘後に移入した細胞は生着したのに対し、開胸のみ施行した後に移入した細胞は生着せず、肺全摘そのものが肺胞の再生に必要な因子であることが示唆された。また左肺全摘後に過膨張を呈していた肺胞は、移入後には肺胞密度が増加し、新たな肺胞の新生が示唆された。
肺切除後残存肺において限局的にでも肺胞の再生が促進できれば、呼吸機能を維持し外科治療の適応拡大、ひいては治療成績の向上に貢献できるものと思われる。本研究は、肺切除後残存肺において早期におこる増殖シグナルの基で、分化能を持つATIIを生着させ新たな肺胞の再生を誘導することを示しており、肺再生医療の礎として意義があり、今後の肺再生医療の発展に貢献することが期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Granulocyte-Colony Stimulating Factor-producing Pleomorphic Carcinoma of Lung : Report of a Case2011

    • 著者名/発表者名
      Hironobu Wada
    • 雑誌名

      Surgery Today

      巻: (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Lymph node staging by endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration in patients with small cell lung cancer2010

    • 著者名/発表者名
      Hironobu Wada
    • 雑誌名

      Annals of Thoracic Surgery

      巻: 90 ページ: 229-234

    • 査読あり
  • [学会発表] 代償性肺成長の増殖期にII型肺胞上皮細胞を補充することで肺胞の再生がおきる2011

    • 著者名/発表者名
      和田啓伸
    • 学会等名
      第10回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(新宿)
    • 年月日
      2011-03-01
  • [学会発表] 肺切除後の代償性肺成長における遺伝子プロファイル解析2010

    • 著者名/発表者名
      和田啓伸
    • 学会等名
      第63回日本胸部外科学会定期学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪)
    • 年月日
      2010-10-25

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公開日: 2012-07-19  

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