研究概要 |
COPDの病態である気流制限は,肺実質の破壊や脆弱性に伴う気道壁コンプライアンスの増加,内因性PEEPによる気道内腔との圧較差増大が影響しているとされる.今回の研究は上記の気道の機能的変化に着目し,重症肺気腫の外科治療として伸縮性コラーゲンであるFIBRIGELを全肺にラッピングする方法の研究を行った.まず動物実験に入る前に実際のレスピレーターとテストラングを用いた回路でのFIBRIGELの作用を中心に呼吸生理学的作用を検証した.テストラングを装着した状態でレスピレータの設定をtital volume 2.3ml, RR 50回とし,テストラングの内圧,換気量,流速の測定を行った.FIBRIGELのラッピングには6-0プロリン糸を使用し,FIBRIGELを2枚もしくは3枚用いてテストラングをラッピングするようにした.(1)control,(2)FIBRIGEL2枚,(3)FIBRIGEL3枚に群分けし検討した.FIBRIGELの加熱における変化は,ビーカーに挿入し100℃程度に加温すると収縮率が66%(直径1.2cm)のゲル状の伸縮性のシートが作成された.次に呼吸生理学的な検証では圧は(1):5.24±0.67cmH20と(3):5.06±0.4cmH20,(2):5.20±0.40cmH20と(3)間で有意差を認めた.また換気量に関しては(1):8.27±2.65ml,(2):15. 90±1.10ml,(3):11.67±0.95mlの3群間で有意差を認めた.flowは(1):35.79±4.50ml/s,(2):40.50±3.51ml/s,(3):39.28±2.51ml/sの3群間で有意差を認めた.以上のことからFIBRIGELのラッピングはテストラングの円周に比較し小さめのラッピングであればあるほど換気量,flowともに増加することが示唆された.
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