研究概要 |
COPDの病態である気流制限は,肺実質の破壊や脆弱性に伴う気道壁コンプライアンスの増加,内因性PEEPによる気道内腔との圧較差増大が影響しているとされる.今回の研究は上記の気道の機能的変化に着目し,重症肺気腫の外科治療として伸縮性コラーゲンであるFIBRIGELを全肺にラッピングする方法の研究を行った.今回はratの正常肺を用いてフィブリゲルが呼吸生理学的データに与える影響について検証した.今回使用した動物はwister系ratの18『220gとした.エーテルによる麻酔後人工呼吸器に装着し,心肺ブロックを肺を膨張した状態で摘出した.次に再度心肺ブロックをレスピレータに装着し,右主気管支をブロックし左肺のみで呼吸生理学的に検証した.フィブリゲルは2枚もしくは3枚をそのまま肺の表面に留置した状態で計測した.人工呼吸器の設定をtital volume 2.3ml, RR 50回とし,左肺の内圧,換気量,流速の測定を行った.(1)control,(2)FIBRIGEL2枚,(3)FIBRIGEL3枚に群分けし検討した.圧は(1):13.37±2.21cmH20と(2):17.27±3.21cmH20,(3):22.95±3.03cmH20と3群間で有意差を認めた.また10回分の総換気量に関しては(1):74.46±8.9ml,(2):72.53±9.31ml,(3):76.06±2.8mlの3群間で差を認めなかった.flowは(1):66.36±8.37ml/s,(2):78.76±9.68ml/s,(3):97.98±9.58ml/sの3群間で有意差を認めた.以上のことからFIBRIGELのラッピングの枚数を増量することにより圧,fIowともに増加することが示唆されたが,換気量には大きな変化がなかった.
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