1、 医師主導臨床試験として「切除不能進行再発非小細胞肺癌に対する自己樹状細胞腫瘍内注入療法と既存抗癌治療との併用療法の臨床研究」実施計画書を作成した。現在、当施設の医学倫理委員会に提出して審議中である。最近の文献的考察から既存抗癌治療としては、レーザー治療、放射線治療、抗癌剤単剤との併用とした。さらに腫瘍内注入樹状細胞の投与は計4回を原則として、その毒性と腫瘍縮小効果を検討する。症例集積は12例を目標として、平成22年度から登録開始予定である。 2、 上記臨床試験の免疫獲得におけるメカニズム解明目的に下記試験を計画した。当院にある腫瘍切除検体を用いて免疫染色にてFOXP3、CD3+腫瘍浸潤性T細胞を、酵素結合免疫吸着法にてTGF-betal、インターフェロンガンマ、インターロイキン10、インターロイキン12p70、血管内皮増殖因子の発現を測定する。近年、樹状細胞癌ワクチンの免疫獲得に対して抑制に働く主な細胞因子として制御性T細胞の存在が明らかになり、特に乳癌に対してそのメカニズムと生存に関与するとの報告がある。本研究では肺癌組織でのその検討の加えて、以前より指摘されている免疫応答に関与する液性因子である上記サイトカインの発現も同時に測定し、それらにおける相関関係に関しても検討を試みる。 3、 腫瘍免疫の獲得には宿主の状態の把握が重要である。免疫に関与するものにリンパ節の状態がある。肺癌切除例928例を対象として、そのリンパ節転移個数ならびに郭清個数と予後に対する検討を行い2009年米国癌治療学会に発表した。
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