1、医師主導臨床試験として「切除不能進行再発非小細胞肺癌に対する自己樹状細胞腫瘍内注入療法と既存抗癌治療との併用療法の臨床研究」実施計画書を作成した。現在、最近の研究から自己樹状細胞の投与方法、さらに宿主の制御性T細胞の状態による効果の違いがあるとの見地から、まずは肺癌組織における上記宿主の状態を検討する前臨床研究を先行している。 2、上記前臨床研究の具体的な方法は下記のごとくである。免疫獲得におけるメカニズム解明を目的として、当院にある腫瘍切除検体150例を用いて免疫染色にてFOXP3、CD3+腫瘍浸潤性T細胞を、酵素結合免疫吸着法にてTGF-beta1、インターフェロンガンマ、インターロイキン10、インターロイキン12p70、血管内皮増殖因子の発現を測定する。本研究では肺癌組織でのその検討の加えて、以前より指摘されている免疫応答に関与する液性因子である上記サイトカインの発現も同時に測定し、それらにおける相関関係に関しても検討を試みる。 3、腫瘍免疫の獲得には宿主の状態の把握が重要である。免疫に関与するものにリンパ節の状態がある。肺癌切除例928例を対象として、そのリンパ節転移個数ならびに郭清個数と予後に対する検討を行い2010年4th Asian Pacific Lung Cancer Conferenceに発表した。
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