光線力学的治療(Photodynamic Therapy: PDT)は中心型早期肺癌に対して安全で効果の高い治療法である。一方、中枢気道の進行肺癌にはステント療法が有効で、顕著に呼吸器症状を改善することができる。しかしステント留置後は、肉芽形成や腫瘍の増大による再狭窄、ステントの移動や逸脱、喀痰喀出困難などの問題点がある。本研究では透明なステントを留置後、ステント留置部の病変に対してNPe6-PDTが施行可能か、また効果があるかを検討した。 ブタの中枢気道に透明なステント(Dumon Gold Studded Stent : NOVATECH[○!R])を挿入した後NPe6-PDTを施行し、一週間後、同部の病理学的変化を観察しその効果を検討した。 レーザー出力は透明なステントを通すと22.2%減少した。そこでブタの正常の気管にはNPe6静脈内投与後、出力180mW、照射時間9分16秒の計100 J/cm2 のレーザー照射(664nm)を行った。一方、透明タイプのステント留置部には、出力180mW、照射時間11分55秒の計100 J/cm2 のレーザー照射(664nm)を行った。一週間後に病理学的に検討したところ、ステント留置部と正常部で同様の効果が得られた。 このことから、透明タイプのステントを留置後に、同部へPDTを行うことは可能で効果があり、中枢気道の進行肺癌に対する治療の一助になると考えられた。
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