脳虚血の原因となる頚動脈プラークにおける動脈硬化因子及び細胞修復因子のひとつである、lectin-like low density lipoprotein receptor 1(LOX1)の発現に注目しその発現動態を調べた。頚動脈プラークモデルはラットの頚動脈バルーン損傷モデルを使用して作成した。侵襲24時間後にはプラークの形成が確認され、免疫組織学的検討によりプラーク内の中膜層を中心にLOX1の顕著な発現が確認された。Western blot法による定量的な解析でも侵襲後の有意なLOX1の発現増加が確認された。 このLOX1を標的としたLOX1抗体修飾liposomeを作成しliposome内に細胞保護効果が確認されている塩酸ファスジルを内包させてliposomal drugを開発した。予備実験としてliposomeに蛍光色素DiIを内包させてLOX1修飾liposomeをラットに経静脈内投与し体内分布を組織学的に評価した。LOX1の発現に特異的にLOX1抗体修飾liposomeが集積することが確認された。塩酸ファスジルを内包させた修飾liposomal drugをラット頚動脈プラークモデルに経静脈投与した。LOX1の発現部位に特異的なliposomal drugの集積が確認され、プラーク形成抑制による細胞保護効果が確認された。
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