研究概要 |
オートファジーは細胞内小器官や蛋白質の、リソソームによる代謝機構である。飢餓などのストレス条件下で誘導されることが知られている。癌の治療においては、薬剤耐性との関連が注目されている。本研究では,免疫染色法及びWestern blot法を用いた,グリオーマ摘出標本におけるオートファジーモニタリングを評価し,テモゾロミドによるオートファジーの誘導を検討した. テモゾロミド療法前後のグリオーマ摘出標本14症例28標本を対象とした.マクロオートファジーの誘導は抗LC3B抗体,抗LAMP1抗体を用いて,シャペロン介在性オートファジーの誘導は抗LAMP2A抗体を用いて,それぞれの陽性率を半定量的に評価した.その結果,全例において免疫染色で評価可能であった.テモゾロミド療法前と比べ、テモゾロミド療法後にオートファジーが有意に誘導されていた.また,Western blot法を用いたLC3B発現解析でも,テモゾロミド療法後の症例でLC3B-I及びLC3B-II発現が増加した.この結果から,テモゾロミドによりオートファジーが誘導されることが示唆された. グリオーマ摘出標本におけるオートファジーモニタリングの手法を確立し,テモゾロミド療法後のオートファジーの誘導を初めて報告した点が,本研究の最大の特長である.
|