本研究はレーザースペックル血流計(以下LSF)を用いて脳虚血発症時の脳局所血流変化をモニタリングすることに主眼を置いている。平成21年度はLSFの設置および実験系の確立を行った。 まず、LSFは商業用に販売されている装置ではなく、高解像度カメラ・レーザーダイオード・レーザーコントローラーなどの器具を個別に購入し、独自にこれ構築した。また、LSFソフトウェア(画像情報処理ソフト)も年々バージョンアップされており、最新版を使用可能にするためにカメラ用ドライバの変更など、PCセッティングの変更も行った。LSFシステムが構築されたことを確認した後、実験室の環境(明るさなど)の最適化を行い、安定してLSFが稼働することを確認した。また、麻酔深度を一定に維持すべくラット用吸入麻酔器を購入し、開頭下に少なくとも3時間程度はモニタリングを継続できるようにした。 最終的にLSFが良好に稼働し、吸入麻酔器によるラットの麻酔管理が可能となったが、安定した局所脳虚血モデルを量産するところは次年度への持ち越しとなった。 体温を安定させることに加えて脳温も一定に保つように、今後脳温管理用サーモスタットを購入する予定である。 少なくとも最新版LSFシステムが稼働し、脳表血流の測定が可能となったことは平成21年度の収穫であり、次年度はこれらデバイスを用いて虚血巣周辺のrCBF変化やperi-infarct depolarizationの伝播様式を観察していく予定である。
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