研究課題
本研究の目的としている、TMS刺激の時間的・空間的パラメータの最適な条件を明らかにするために、言語課題遂行時の脳磁図計測を行い、脳活動部位の時間的経過を明らかにした。それぞれの被験者から得られた脳磁界波形を、周波数帯域ごとの脳律動変化に着目し、空間フィルターを用いて三次元脳画像上に重畳させることで、時間的な脳活動部位の変化を明らかにした。これは英文雑誌に投稿し掲載された。これらの結果から、運動制限野の300-500msでの強い反応を認め、fMRIとは異なり視覚提示後の反応部位の詳細な時間経過を明らかにしたという点で重要である。この結果をもとに、TMS刺激による言語誘発症状をきたしうる時間的・空間的パラメータの候補を撰択した。課題としては、線画を用いてその名称を発声で答えるものを使用した。視覚提示後に運動性言語野もしくは感覚性言語野の左右それぞれを、視覚提示後の異なるタイミングで刺激した。特に言語優位半球の運動性言語野を視覚提示後300-500ms後に磁気刺激を行った場合に、反応時間の延長が見られ、脳磁図での運動性言語野の活動開始時間と良く一致した。一方で感覚言語野では左右ともに反応時間の変化は一定した傾向は認められなかった。このように運動性言語野を磁気刺激することで言語優位半球を同定できる可能性が示唆された。これは、脳磁図を用いた受動計測とはことなり、刺激による誘発症状で言語機能を評価できるという点で、脳神経外科手術での術後症状の予測に応用可能性が認められ意義があると考えている。現状では個人差がやや大きく、さらに刺激条件などを見直すことで臨床への応用可能性を検討していきたい。
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Neuroimage
巻: 54(1) ページ: 560-567
Brain Stimul.
巻: 4(1) ページ: 28-37