研究概要 |
グリオブラストーマは浸潤、増殖能が強い未分化な腫瘍細胞からなる脳原発の悪性腫瘍で,放射線、化学療法に抵抗性を示す。最近脳腫瘍幹細胞がこの治療抵抗性を規定していると考えられているため、脳腫瘍癌幹細胞をターゲットとした治療法の開発が重要である。そこで腫瘍幹細胞の自己複製のメカニズムを解明するべく本研究を開始した。まず本研究を行うためにグリオブラストーマの手術検体からEGFやFGFなどの成長因子を含んだ培地で初代培養を行い、脳腫瘍幹細胞の自己複製能を解析できるin vitroでのモデル作成を目指して、幹細胞能を持ったグリオブラストーマ細胞の長期培養を行うことを試みた。その結果現在までに5例のグリオブラストーマを成長因子培養下で長期培養を行うことに成功した。これらの培養細胞は複数のマイクロサテライトマーカーを用いたLOH解析により、もとの腫瘍細胞と同じgenotypeを保持していることが証明され、またSOX2やnestiなどの未分化な表面マーカーを発現しており、腫瘍幹細胞の性質を持つことが示唆された。次の段階としてこれら継代培養された脳腫瘍幹細胞における細胞分裂と非対称分裂関連蛋白の発現を解析した。解析する分子としてDrosophilaでの機能が解析されている遺伝子のhuman homologであるaspm, lgl-1, plk-1, Aura A kinasenなどを選択した。蛍光免疫染色やwestern blottingにより発現パターンと発現量を蛋白レベル検討しているが、現在までlgl-1の解析を行ったがはっきりとした発現は認められなかった。
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