神経幹細胞と癌幹細胞のcharacteristicsの解析のためのcell lineの確立を目的として同意の得られた患者検体からの細胞培養を試みた。 同意の得られた2名のnewly diagnosed glioblastoma患者からの摘出検体を分離培養した。方法は、Sphere法を用い、これまで、われわれが神経幹細胞の分離培養を行ってきたものと同様に行った。 結果:2例の検体からは、分離培養には成功できず、cell lineの確立には至らなかった。 考察:細胞分離の際、single cell sortingを行ったことが、細胞の損傷につながったのではないかと考えられた。また、摘出された腫瘍組織にはたくさんのnecrotic tissueが含まれ、viableな部分を正確に判別し、使用することが必要であると考えられた。また、細胞の分離培養において、sphere法およびadherent cell法など、培養方法について再検討が必要と考えられた。 また、検体数の絶対的な不足を補う意味でも、newly diagnosed以外(放射線照射や化学療法後)のsecond look operationにより摘出された検体との比較検討も必要と考えられた。放射線、化学療法の曝露によりglioma stem cellのcharacteristicsに相違が生じるかどうかは、臨床においても非常に重要な点であると思われた。
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