我々は脊椎脊髄手術において、生体に低侵襲に行うべく各種機器をもちいて、様々な工夫を行っている。頚椎前方手術では、金属をできる限り使用せず、また他部位からの移植骨採取に伴う合併症を軽減し、更に広い視野で固定範囲を減らし、安全に手術を行うべく工夫を行い、良好な結果を得ている。頚椎後方手術でも、脊柱後方支持組織をできる限り温存し、手術範囲を限局して行う方法を取り入れ、低侵襲に手術を行うべく工夫を行っている。このような、脊椎手術によって腰椎黄色靭帯組織を摘出し、病理切片を作成して各種検討を行った。血管新生・増生に関与する因子であるstromal cell-derived factor-1 (SDF-1)及びHypoxia inducible factors-1 (HIF-1)、VEGFの蛋白の発現は少数で確認できたが、その発現は少なく、黄色靭帯内に認められた血管すべてに発現しているものではなく、その発現に時間的な差異がある可能性が示唆された。またHIF-1とSDF-1については、その発現に明らかな相関を見出せずにいる。臨床症状や画像所見と、各種低酸素関連因子との関連について、明らかな相関は認められず、今後の更なる検討が必要であると思われた。
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