研究概要 |
東北大学医工学研究科・医用イメージング研究分野で開発され,非接触、非侵襲的に10ミクロンの高解像度で組織の評価が可能な三次元高周波超音波顕微鏡装置を用いて,関節軟骨の評価を行うことを目的とした研究である。皮膚の観察用に開発されたトランスデューサーを改良し、中心周波数120MHz,焦点距離3.2mmの条件がラット膝関節軟骨には最適であることを確認し,実験を行った。 16週齢のオス,S-Dラットの脛骨側から直径3mmの骨軟骨柱を採取し、トランスデューサーから放出された超音波が関節軟骨表面に垂直に当たるようにセットし、三次元高周波超音波顕微鏡装置で観察を行った。その後骨軟骨柱を4%PFA液に一晩浸漬固定し,脱灰後にパラフィン包埋し,5mmの切片を作製した。 切片を脱パラフィンした後,組織の粘弾性と関連する「音速」を計測可能な中心周波数80MHzの超音波顕微鏡で関節軟骨の計測を行った。関節軟骨表層は三次元高周波超音波顕微鏡装置で高輝度,超音波顕微鏡では高い音速を示し,表層以下から軟骨下骨までの関節軟骨は低輝度および不均一は音速をそれぞれ示した。両者の画像を比較し,エコー輝度と音速のピアソンの相関関係を算出した。関節軟骨表層では0.704,表層以下では0.731の高い相関係数を示した。 変形性関節軟骨の初期変化は一般的に関節軟骨表面の軟化を特徴としているが,臨床的にはプローブなどで触知して診断している。本実験から三次元高周波超音波顕微鏡装置で高輝度を示した領域は音速が高い,つまり粘弾性が高いことが世界で初めて証明された。トランスデューサーを小型化することによって,術中に病変部位をマイクロレベルで特定できる可能性が高く,本実験から得られた基礎的データは臨床応用へ向けた大変意義深い研究であった。
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