研究概要 |
(1) SIRT1を軟骨細胞に過剰発現した場合に軟骨細胞の肥大化、アポトーシスを抑制するか、また、基質合成の促進するかを確認する(in vitro) SIRT1の過剰発現による軟骨細胞での機能解析 まず、SIRT1を発現するplasmidを調整し,lipofection法にてtransfectionを行った。SIRTIの過剰発現をreal-time PCRにて確認した後western blottingにて確認した。また、過剰発現の影響はwestern blottingにてP53のアセチル化を調べることにても確認した。SIRT1を過剰に発現した軟骨ではアセチル化したP53の発現が減少しており、タンパク量の増加だけでなく、脱アセチル化が促進されていることを確認した。 続いて、過剰発現による遺伝子発現におよぼす影響を調べた。SIRT1の過剰発現単独でAGGRECAN、COLLACEN2A1の発現量の増加をみとめた。一方COLLAGEN1OA1の発現の低下をみとめた。さらに、IL-1βで軟骨細胞を刺激した状態でSIRT1を過剰に発現させてSIRT1が軟骨の破壊に保護的に機能するか調べた。上記のようにSIRT1を過剰発現させた後にIL-1βにて刺激し、IL-1β刺激後RNAを採取して遺伝子変化を調べた。 IL-1β刺激ではAGGRECANの発現量は80%程度までの低下にとどまった。IL-1β刺激下でSIRT1を過剰発現させた群ではAGGRECANの発現量の増加をみとめた。COLLAGEN2A1の発現量も同様の変化をみとめた。一方ADTAM-TS5やMMP13の発現量はIL-1β刺激により上昇をみとめたが、SIRT1を過剰発現させた群ではその発現の上昇が一部抑制され、SIRT1の過剰発現が軟骨細胞に保護的に働く可能性が示唆された。現在さらにより多くの遺伝子の変化を調べている段階である。また、アポトーシスの抑制についても調べている。 2) 生体内でのSIRT1の軟骨における役割の解析 Col2a1-CreトランスジェニックマウスのSPF化を必要としたため搬入が遅れ、2月に当施設に搬入された。このため、現在Col2a1-CreトランスジェニックマウスはSirt1^<tmlYgu>Jマウスと交配中である。
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