ステロイド性骨壊死家兎モデルにおいて、骨壊死発生個体と非発生個体における血管内皮前駆細胞の経時的変化を解析することを目的に、血管内皮細胞表面に発現されている細胞表面マーカーCD34に対する抗体を用いてフローサイトメトリーにより家兎全血中のCD34陽性細胞数の測定を試みた。結果、本実験ではCD34陽性細胞は実験に用いたどの家兎からも検出されず測定できなかった。CD34陽性細胞は、人全血中だけでなく、家兎全血中においても検出されると報告されているが、人と兎の持つ抗原性は様々な組織で異なることも多い。今後は、抗体を変え、また、全血中のみではなく、骨髄液中の検討も加える予定としている。 ステロイド性骨壊死のもっとも多い基礎疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)症例における大腿骨頭前方回転骨切り術の20年以上の長期経過を調査した。手術時年齢を20-40歳に限定した本調査では、25年関節温存率は73%であった。注目すべきは、7割以上の若年者が人工関節置換術を回避できただけではなく、これらの関節温存患者のなかには健常日本人と変わらないQOLを獲得・維持している患者も複数認められたことである。本調査結果は、人工関節一辺倒の欧米型股関節外科のあり方に警鐘を鳴らす上でも意義のある研究であり、SLE研究の代表的な英文誌であるLupusに掲載が決定された。
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