研究概要 |
大腿骨頭壊死症において、骨壊死巣に対する修復反応が骨頭圧潰などの病態に大きく関与しているが、未だ不明のままである。今回我々は、大腿骨頭壊死症における壊死層周辺の修復反応について、骨SPECT/CT融合画像を用いて評価する試みを行った。骨壊死発生初期であるStage 1において、CT像において壊死層周辺に部分的な骨硬化像を認め、tracer uptakeはnormal, low, moderateと様々なものであった。骨頭圧潰前であるStage 2では、CT像において壊死層周辺にはっきりとした帯状硬化像を認め、tracer uptakeは全例で帯状硬化像に一致する一様なmoderate uptake像を認めた。圧潰後早期であるStage 3Aでは、tracer uptakeは多くの症例で部分的にhigh uptakeを示しており、圧潰の起点を画像的にとらえられる可能性が示唆された。骨SPECT/CT融合画像は大腿骨頭壊死症のそれぞれの病期において壊死層周辺の生体反応を明瞭に示しており、壊死層周辺の部位によりtracer uptakeの程度は異なっていることから、骨頭圧潰の病態解明に有用なツールであることが示唆された。本研究内容を世界的な放射線学会であるRadiological Society of North Americaに投稿中である。 また、臼蓋形成不全を合併する大腿骨頭壊死症に対する治療法として、臼蓋形成術を併用した大腿骨頭前方回転骨切り術について、その中期成績を調査した。平均観察期間7.5年の間、人工股関節への移行例はなく、全例において骨頭圧潰の進行は認めなかった。本結果より、大腿骨頭壊死症に対する大腿骨頭回転骨切り術において、臼蓋形成不全を伴う症例では、臼蓋形成術の併用は有用なオプションである可能性が示唆され、整形外科の英文誌であるJournal of Orthopaedic Scienceに掲載が決定された。
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