大腿骨頭壊死症では、骨壊死発生後すみやかに周囲健常組織からの修復がはじまると考えられており、修復過程が骨頭圧潰などの病期進行に重要な役割を担っていることが推測されているが、その詳細は未だ不明である。これまで我々は、早期修復過程を評価する目的に、骨シンチグラフィ時に撮像されるSingle-photon emission computed tomography with computed tomography (SPECT/CT)の融合画像を用いて、骨芽細胞活性の動向を視覚的に評価してきた。しかしながら、視覚的評価であったため、骨頭内のどの部位で活性が強いのか、あるいは、個体間での違いについての定量的な評価ができていなかった。そこで我々は、融合画像においてカウント値を測定することによりtracer uptakeを定量的に評価する試みを行った。結果、Stage 1では骨頭前方にuptakeが最大となる傾向にあったのに対して、Stage 2および3Aでは骨頭外方にuptakeが最大となる傾向を認めた。また、uptakeの程度については、Stage 1に比してStage 2および3Aで統計学的有意差を持ってuptakeの程度が強いことが示唆された。本結果は、骨頭外側における、添加骨形成を伴う肥厚骨梁と壊死骨梁間での力学的ストレスが同部位での骨折をきたし骨頭圧潰を導く、という我々の仮説(J Bone Joint Surg Br. 2011)をサポートするものであり、修復過程と骨頭圧潰との関連における重要な知見であると考えている。本研究内容は、骨壊死の国際シンポジウムである第17回Association Research Circulation Osseous (ARCO)で発表した。
|