生体へのsiRNA導入方法についてはエレクトロポレーション法やウイルスベクターを用いた方法などが報告されているが、組織障害性やインターフェロン応答活性化による作用の減弱など未だ問題点が多い。そこで我々は生体吸収性ポリマー(以下ポリマー)が徐放性を有する点に着目し、ポリマーを用いたsiRNA導入法を考案し、その導入効率及び有効性を検証した。 平成21年度の研究成果をさらに確認するために、蛍光標識されたdsRNAとPLA-DX-PEGポリマーを種々の濃度で混合し、マウス背筋筋膜下に埋植、経時的に周囲の筋肉を取り出して組織学的に導入量を検討する実験において、エレクトロポレーション法による導入のみならず、注射による導入法との比較を行った。ポリマーによる導入量は、注射による導入法より多く、エレクトロポレーション法による導入量と同程度であることを経時的に確認した。次に、実際の分子をターゲットとした場合の有効性を検討するためにrhBMP-2とそのantagonistであるNogginのsiRNAを含有させたポリマーをマウス背筋筋膜下に埋植し、埋植2週後に異所性化骨を摘出してSoft X-rayを撮影し、DXA法により骨塩量を計測した。Noggin siRNA含有群でのBMP骨形成作用の増強を確認した。また、骨形態計測を行い、Nogghin siRNA含有群でのbone volume/tissue volumeの増大を確認した。 生体へのsiRNA導入法として、生体吸収性ポリマーを用いた導入法が有効であり、rhBMP-2のantagonistであるNogginの発現を抑制し、BMPの骨形成作用を増強できることが示された。
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