研究概要 |
昨年度の研究でSAHAはautophagic cell deathを誘導して多剤耐性細胞に抗腫瘍効果を発揮することが明らかとなった。SAHAを投与して細胞周期を観察すると確認するとG2/M fractionが増加していることが確認された。SAHAの濃度依存性にautophagy関連遺伝子beclin1の発現濃度が上昇し、G2/M fractionの量が増加していた。以上のことからSAHAがAUTOPHAGYの誘導とG2/M期を誘導している事が明らかとなったが二つの関連は現在調査中である。 SAHAの抗腫瘍効果をin vivoで確認:今までに樹立した多剤耐性Ewing肉腫細胞(WE-68/ADR,VH-64/ADR)に加え、Ewing肉腫の他の2つの細胞株(SKNMC,RDES)からも引き続き多剤耐性Ewing肉腫細胞を樹立した。RDESは多剤耐性株は樹立できなかったが、SKNMCの多剤耐性株は樹立することに成功した。これらの耐性株(WE-68/ADR,VH-64/ADR,SKNMC/ADR)をNu/Nuマウスの背部にxenogrftして生着の有無を確認したところ、WE-68/ADR,VH-64/ADRはマウスに生着できたが、SKNMC/ADRは生着させることができなかった。従ってマウス多剤耐性Ewing肉腫モデルとしてWE-68/ADR,VH-64/ADRのxenograftモデルを使用することとした。 WE-68,VH-64の多剤他姓株を1.0×106の細胞をpreparationしてNu/Nuマウスにxenograftする。 つづいて0,50,75,100mg/Kgの濃度のSAHAを腹腔内投与し抗腫瘍効果を検討したところ、SAHAの濃度依存性にマウスの腫瘍サイズは縮小した(論文投稿中データ)50mg/Kg投与群で生存腫瘍細胞は認められず、この濃度ではマウスに体重減少などの副作用は生じなかった。以上のことからSAHAがvivoモデルにおいても多剤耐性Ewing肉腫に対して良好な抗腫瘍効果を示すことが確認することができた。
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