研究課題
目的:正中で棘突起を縦割して傍脊柱筋を極力温存して神経組織の除圧を行う「腰椎棘突起縦割式椎弓切除術(縦割法)」を開発し、その有効性を動物モデルで検証してきた。昨年度行ったマウス縦割法動物モデルを用いたreal time polymerase chain reaction(real time PCR)の結果を参考にして、本年度はラット縦割術動物モデルにおいて、real time PCRを用いて術後の筋委縮について検討した。方法:ラットの棘突起を傍脊柱筋の付着させたまま縦割して展開した縦割法群(N=4)と、棘突起から傍脊柱筋を剥離して棘突起を切除して展開した従来法群(N=4)を作製した。30分の展開の後、閉創した。さらに皮切のみ加えたコントロール群(N=3)を用意した。そして、展開後1日、4日、7日で傍脊柱筋(多裂筋)よりmRNAを抽出し、real-time PCRを用いて筋委縮マーカーであるMuRF1,Atroginを定量的に評価した。結果:Atrogin:術後1日目には従来法群だけで発現の上昇が認められたが、術後4日目には縦割法群でも上昇が認められた。しかし、術後7日目には、従来群、縦割法群ともコントロールと同様のレベルまで発現が低下していた。MuRF1:Atroginと同様に、術後1日目には従来法群だけで発現の上昇が認められたが、術後4日目には縦割法群でも上昇が認められた。しかし、術後7日目には、従来法群、縦割法群ともコントロールと同様のレベルまで発現が低下していた。考察:縦割法群で筋委縮マーカーであるAtroginとMuFR1の発現が術後1日目、4日目で従来群と比較して低下していたことより、縦割群では筋委縮が従来法群より少ないことが裏付けられた。さらに、これら二つの委縮マーカーは発現が術後4日で最も高いことより、これ以降は筋の委縮進行は鈍化すると考えられた。筋委縮とともに、筋の再生が始まることも予測され、今後は、筋再生のマーカーを用いた局所での発現の違いの検討、そして、織学的な検討を考慮する必要があると考えられた。
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