研究概要 |
昨年度得られたRA患者70名の血清中アディポネクチン濃度とのHDLコレステロール及び中性脂肪の関連につき日本リウマチ学会にて発表を行った.さらに本年度は昨年採取,精製した組織サンプルを使用しアディポネクチンの関節局所における作用につきin vitroで検討し,炎症の促進に作用するのか,あるいは抑制的に作用するのかを解明することを目的とした.血清・関節液のサンプルが収集可能であったRA患者22名においてELISA法にてアディポネクチン濃度を測定したところ,関節液中にもアディポネクチンは存在するものの,血清中と比較すると低濃度であったが(血清中:平均7.14μg/ml,関節液中:平均3.61μg/ml),血清中と関節液中でのアディポネクチン濃度に有意な相関を認めた(R^2=0.12,P<0.05).対照群として変形性関節症(OA)患者6名におけるアディポネクチン濃度を測定したところ,血清中ではRAとの有意差を認めなかったが,関節液ではRAにおいて高濃度に存在していた(OA血清中:平均7.06μg/ml,OA関節液中:平均1.28μg/ml).さらにRAの病態に関与する代表的なサイトカインとしてTNF-α,IL-6を関節液にて測定したが,関節液中アディポネクチンとの明らかな相関は認めなかった.このことからRA患者の関節内において何らかの炎症に関与している可能性は示唆されたものの,TNF-α,IL-6との関連は証明されなかった.
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