研究概要 |
本研究の主題は,「GC-MSを利用してデクスメデトミジンの血中濃度測定を可能とする」ことであり,デクスメデトミジンの定量法の確立を行い,日本人における血中濃度を予測するパラメータの解析を行うことである。 研究の手順として,(1)デクスメデトミジンの抽出法を確立する(2)内標準物質を決定する(3)デクスメデトミジンの検量線を作成する(4)測定法の最終バリデートを行う。 (1)デクスメデトミジンの抽出法の確立 デクスメデトメジン(DEX)は誘導体化を行うことで、GC-MSに注入することが可能となる。誘導体化試として、0.5%pentafluorobenzoyl chloride (PFB-CL)ヘキサン溶液を利用した。DEXを1mLに希釈し、1M炭酸水素ナトリウム1mLにてアルカリ化した。誘導化試薬としてヘキサン6mL、PFBCL5mcLを注入し、常温で撹拌・遠心を行い有機層と無機層に分離した。この過程によりデクスメデトミジンが有機層に移動することが確認できた。有機層に移動されたデクスメデトミジンをGC-MSに注入するための乾燥・乾固は,遠心エバポレータで可能なことが確認できた。 (2)内部標準物質の決定 デクスメデトミジンの定量を行うために,同条件で有機層に移動し、GC-MSで検出できる内部標準物質の同定と条件を制定することが必要であった。ジアゼパムは,DEX測定と同条件で検出が可能であり、内部標準物質としての利用が可能であることが確認できた。ミダゾラムでは,tailingを来しており、精度は十分ではなかった。 (3)デクスメデトミジンの検量線の作成 0.1,1.0,10ng/mLのデクスメデトミジン標準溶液を準備し、GC-MSのピーク面積を計算し、回帰直線を決定し相関係数を算出した。 (4)測定法の最終バリデート 低濃度デクスメデトミジン標準溶液を用いて検出限界を求め,各種濃度の溶液を用い精度を算出した。引き続きin vivo studyとしてPCを用いたTarget-controlled infusionを行い,実測値と予測血中濃度の整合性の評価を行ったが多少のバラつきがあり,検体数を増やして追加測定を施行中である。
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