1. イミダゾリン受容体刺激の抗不整脈モデルの確立 ラットをハロセンにて麻酔導入・維持し、エピネフリンを少量からの静脈内投与を除々に投与量を暫増し、心室性不整脈の発生したエピネフリン投与量を持ってエピネフリン不整脈閾値と定める。この方法を用いて脳内にイミダゾリン受容体刺激薬のリルメニジンを投与すると迷走神経を活性化し、抗不整脈作用をもたらすことを確認し、このモデルを用いて心臓における抗不整脈因子の解析に供することとした。 2. 抗不整脈モデルを用いた情報伝達因子の検討 上記の方法にて心筋細胞内の情報伝達因子として、心臓のムスカリニック受容体に結合する百日咳毒素感受性Gタンパクおよびその下流にある細胞内伝達因子であるphosphatidylinositol 3-kinaseをその拮抗薬である百日咳毒素およびワルトマニンを用いて検討した。百日咳毒素およびワルトマニンは脳内に投与されたリルメニジンの抗不整脈作用を拮抗した。百日咳毒素感受性Gタンパクおよびphosphatidylinositol 3-kinaseが抗不整脈作用をもたらす細胞内因子のひとつであることが示された。 3. イミダゾリン受容体刺激時のウェスタンブロットによる情報伝達因子の解析 上記と同様にイミダゾリン受容体刺激薬のリルメニジンを脳内に投与し、心筋を切り取り、心筋切片を超音波破砕および遠心分離することで細胞質分画を得てAktに対するウエスタンブロットそのリン酸化Aktの減少が得られた。よって、Aktのリン酸化が抗不整脈作用の一因である可能性がある。
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