平成21年度は研究実施計画に沿って、まず細胞外グルタミン酸濃度を1分ごとに測定できるマイクロダイアリシスの手技の確立を行った。具体的にはマイクロシリンジポンプを用いた透析サンプル採取法、採取された透析サンプル中のグルタミン酸濃度を測定する高速液体クロマトグラフィーシステムの整備を行い、測定誤差を小さくすることを目標とした。当初の計画では透析プローブにリンゲル液を用いて2.5μl/miinで灌流する予定であったが、標準液サンプルでの誤差が大きいことがわかり、3μl/minに流量を変更することによってグルタミン酸の回収率を大きく下げることなくグルタミン酸濃度の測定誤差が5%以内まで低下させることができるようになった。その後、スナネズミ前脳虚血モデルの作成を確立(安定した前脳虚血の施行、出血を最小限に抑えた血管確保の手技の確立)し、脳虚血時のグルタミン酸濃度の推移をハロタン投与群とケタミン静脈内投与群において測定した。21年度の実験データとしての症例数はあわせて14例となり、5分虚血時における細胞外グルタミン酸濃度の推移についてはほぼデータ収集を完了した。 平成22年度は引き続き対照群(虚血をかけない群)と7分虚血群におけるハロタン投与群とケタミン静脈内投与群それぞれにおける細胞外グルタミン酸濃度の測定を行う予定である。また、平成21年度に得られたデータについては平成22年4月~6月にかけて国内学会発表が決定しており、平成22年度に得られた実験データとあわせ、平成22年度後半に海外学会発表および海外雑誌に投稿を予定している。
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