平成22年度はまず透析サンプル採取法、また透析サンプル中のグルタミン酸濃度を測定する高速液体クロマトグラフィーシステムの精度の確認および精度を行った。グルタミン酸標準液を用いてグルタミン酸濃度の測定誤差を5%以内に収まっていることを確認した。 引き続き対照群(虚血をかけない群)と7分虚血群におけるハロタン投与群とケタミン静脈内投与群それぞれにおける細胞外グルタミン酸濃度の推移につき、データ収集を行った。 本研究では、脳虚血時のケタミン投与は細胞外グルタミン酸濃度を虚血後半から再灌流直後までの間の比較的短い時間のみで対照(ハロタン投与時)に比べて有意に低下させることが明らかになった。透析サンプルの採取間隔が長ければサンプルデータの平均化によって有意差を得ることができなかったと考えられ、透析サンプルを1分ごとに採取できる手法の確立によりはじめてケタミンの細胞外グルタミン酸濃度低下作用を検出できたと考えられる。ケタミンが脳虚血中の細胞外グルタミン酸濃度を低下させることで、その後のNMDA受容体の活性化を抑制し神経障害の減少の一つの役割を果たしていることが示唆された。本研究で得られた成果については、海外主要学会および国内主要学会にて学会発表を行った。現在研究の成果をまとめ、海外主要雑誌に投稿中である。
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