ケタミンはレミフェンタニルの急性耐性形成に予防効果を有するとされる。ケタミンがレミフェンタニル刺激によるμORならびにμ-δORの細胞内動態に与える影響を調査するため、二量体化受容体の脱感作、受容体細胞内移行の可視化実験を行い、レミフェンタニル単独の効果と比較した。 まず、クローン化μORとδ-オピオイド受容体(δOR)のC末に黄色蛍光蛋白(Venus)と青色蛍光蛋白(Cerulean)をそれぞれ連結し、BHK cellに発現させた。これを共焦点レーザで観察し、Fluorescence Resonance Energy Transferにより受容体二量体化の有無について検討し、レミフェンタニル刺激後のinternalization、あるいはrecyclingされたμORとδORについても同様に二量体化について解析した。レミフェンタニル(10nM、100nM、1μM)で30分間刺激したのち、さらに30分後、180分後にμORならびにμ-δORのinternalizaionについて解析した。前述の細胞をS(+)-ケタミン(10μM、30μM、100μM)で10分間刺激した後、レミフェンタニル(10nM、100nM、1μM)で30分同時に刺激した。その30分後にμORのinternalizaion、180分後にrecyclingを解析した。 その結果、S(+)-ケタミンの同時投与により、各濃度のレミフェンタニルによるμORのinternalizationは抑制された。また、100nMのレミフェンタニルによりinternalizaionされたμORは、S(+)-ケタミンの同時投与によりrecyclingが促進された。 以上の結果は、レミフェンタニル急性耐性形成時におけるケタミンの予防効果にμORのinternalization/recycling機i構が関与している可能性を示唆した。
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