研究概要 |
本年度においては、昨年度において,心臓手術周術期において2つの非侵襲的脳循環モニターであるTCD装置とrSO2測定装置を併用し,心臓手術後せん妄および認知機能低下の発生率等の測定結果をもとに、以下の介入研究を実施した。対象患者は、当院で予定された心臓手術患者。rSO2維持介入群と非維持介入群に無作為に2群に分けて行った。rSO2維持介入群においては、rSO2値が40%未満に低下もしくは術前のrSO2値からの20%以上の低下を認めた患者に対して、下記プロトコールに基づき対応し、rSO2の維持を行った。なお、本研究を遂行するうえで、rSO2値ならびにTCD装置によるデータは保存するが、患者管理中においては麻酔管理者並びに研究参加者に対してブラインドにして、直接の介入が出来ないように配慮している。 A.TCD測定値より脳血流低下が考えられた場合 ・人工呼吸器を調節し、正常の呼気終末二酸化炭素分圧を正常値内への変化 ・人工心肺中のポンプ流量等の調整 ・脳潅流圧低下に対して昇圧剤の使用 ・心係数低下に対して強心薬の使用 ・脳血管抵抗増加に対して脳血管拡張剤の使用 ・貧血の補正 B.TCD測定値より脳血流低下を認めない場合 ・BIS値を見ながら麻酔深度を調節 ・体温を37度前後に維持できるよう調節 これらの介入回数や介入時間等を記載し、また、せん妄の有無・認知機能障害の有無等を細かく記載している。現在、これらの患者データに対して、rSO2維持介入群(50症例)と非維持介入群(50症例)を目標にデータ収集中であり、冒標症例数に達した段階にて、詳細な分析を行う予定である。
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