リドカインは抗炎症作用を有し、術後の回復を早め予後を改善する。リドカイン以外のアミド型局所麻酔薬、長時間作用型のブピバカインおよびブピバカインなどの抗炎症作用については殆ど明らかにされていない。またリドカインは神経伝達の遮断に必要とされるよりも低濃度で抗炎症作用を発現するが、その際の血中濃度と組織濃度の閾値についても検討されていないため我々は局所麻酔薬を動物に投与し、血中濃度とともに組織中濃度を測定し、昨年までに方法を確立した。 本年度は動物実験モデルのラットを調整し、その脳組織内および血液中の局所麻酔薬の濃度の定量を計画していたため、実験動物モデルの炎症性疼痛モデルと神経因性疼痛モデルの作成に取りかかった。まず、神経因性疼痛モデルの作成を行った。当初研究実施計画で予定していたBennetらの方法を文献に従って行った。大腿二頭筋の筋頭間直下坐骨神経を露出し、分岐部の中枢側をchromic gutを用いて1mm間隔で4カ所緩く結紮し、神経因性疼痛モデルを得ることを目標にした。Von Frey filamentで疼痛の程度を評価して、モデルラットにおける疼痛の発現について評価を行い、疼痛モデルとしての適切であるかを判定した。しかし、調整したラットの行動および疼痛の発現について観察を行ったが、疼痛の発現およびその行動についても一定では無かったため、更なるモデルラットの調整が必要であった。
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