研究概要 |
本研究の目的は、局所麻酔薬の血中濃度と脳波の関係を明らかにし、フェンタニルやレミフェンタニルと局所麻酔薬を併用投与した際の脳波や痙攣閾値に与える影響を検討することにある。 今年度の基礎研究においては、下記の通り、実験モデルを確立した。まず、ペントバルビタールによる麻酔下でSprague-Dawaley系ラットの大脳辺縁系側坐核に脳波測定用貼り合せ電極を留置させて覚醒させる。2-3日後にセボフルラン麻酔下で頚動静脈にカテーテルを留置し、覚醒させ、血圧・心拍数のモニター下で脳波を記録する。リドカイン溶液を1mg/kg/minで持続投与し、痙攣が生ずるまで10分ごとに採血を行う。血液は遠心分離した後に保存し、高速液体クロマトグラフー質量分析装置を用いてリドカイン定量を行っている。電極より得られた脳波はデジタル処理の後にソフトウェアーで取り込み(Vital Recorder, Kissei Comtec)、解析ソフトウェアー(BIMUTAS II, Kissei Comtec)を用いて周波数解析を行い、デルタ(〓2 and<4Hz)、シータ(〓4 and<8Hz)、アルファ(〓8 and<13Hz)、ベータ(〓13 and<30Hz}の各帯域毎のパワーを求める。薬物の血中濃度と脳波の変化の関係については、薬物動態解析ソフトウェアー(winNonlin, Pharsight, CA, USA)を用いて行っている。現在は上記の実験モデルにおいてフェンタニルを同時投与した際の血中リドカイン濃度と脳波の変化を検討している。 臨床研究においては、Target Controlled Infusionで投与された血漿中の薬物濃度の定量方法の確立につとめている。局所麻酔薬であるリドカインやブピバカイン、ロピバカインに関しては確立できたが、フェンタニルやレミフェンタニルに関しては定量方法を検討中である。
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