研究概要 |
昨年と同様,基礎的研究として,PTCC-TFE3遺伝子,ASPL-TFE3遺伝子永久導入ヒト胎児腎細胞(HEK293細胞)の確立を目指し,TFE3転座遺伝子のプラスミドを用いたtransfectionを行った. 昨年とは異なる方法でtransfectantの確立を試みるも,導入されず,他種の細胞も用いたが,奏功しなかった.このため,同様の手技によるIn vitroにでのXp転座腎癌の実験は困難と判断し,マウス胎児腎細胞を用いたtransfectant確立を検討したが,実験作業の膨大さより,エフォート20%下での実験施行は困難と判断し,下記の臨床研究を主に行った. 臨床的研究として,若年性(45歳以下)限局性腎癌症例では無再発生存率が同等であるにもかかわらず,癌特異的生存率が通常の腎癌よりも良好であること(1)を,2403例の大規模なコホートを用いて示した.これまでにいわれている病理学的T分類.症状の有無,腫瘍グレードの他,若年性が独立した予後予測因子であることを示したものである.若年性腎癌の予後が良好であることのひとつの理由として,Xp染色体転座腎癌の存在を示唆する結果(2)であった.(1),(2)はいずれも海外の文献を含めてこれまでに報告されておらず,初めての知見と考えられたため,これについて論文を作成し,Urology誌2011年に発表(2011年4月5日現在E-publish ahead of print)した.
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