研究概要 |
【目的】動脈硬化症と尿路結石症は類似した機序により発症するとされ、メタボリックシンドローム(Mets)も一因と言われている。Metsの治療薬としてPPAR(peroxisome proliferator-activated receptor)作動薬があり、α作動薬、γ作動薬ともに用いられている。今回、シュウ酸カルシウム(CaOX)結石形成モデルratに対し、PPARα及びγ作動薬を投与し腎におけるCaOX結晶形成に対しての効果を検討した。 【対象と方法】8週齢・雄SDratを、コントロール群、1%エチレングリコール(EG)群、1%EG+PPARα(fenofibrate 30mg/kg/day)群、1%EG+PPAR γ(pioglitazone 10mg/kg/day)群、1%EG+PPARα+PPARγ群の4群とした(N=6)。EGは自由飲水とし、fenofibrate、pioglitazoneは経管投与を行った。14,28日目にsacrificeし、採血、採尿を行い、結晶を観察した。 【結果】EG群に比べてEG+PPARα群では腎尿細管管腔内へのCaOX結晶沈着は促進し、EG+PPAR γ群では抑制された。EG+PPARα+PPAR γ群はEG+PPARαとEG+PPAR γ群の中間であったが、結晶沈着の促進作用が強かった。EG+PPARα群では投与初期の尿中シュゥ酸排泄が増加した。EG+PPAR γ群はEG群に比ベオステオポンチンの発現は低下し、抗酸化作用の亢進を認めた。 【考察】PPARα作動薬はシュウ酸代謝に影響しCaOX結晶形成を促進させることが示唆された。また、PPARγ作動薬は抗酸化作用により結晶形成を抑制することが示唆された。
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