研究概要 |
腎細胞癌は成人腎に発生するもっとも頻度の高い腫瘍であり、その発生率は年々増加している。しかし腎細胞癌は手術療法以外に有効な治療法がなく、腫瘍細胞を栄養する新生血管を阻害するAnti angiogenesis therapyはここ数年注目を浴びており、その効果が期待されるが、その基礎となる腫瘍血管の新生メカニズム、新生血管の構造・機能についてはいまだ多くの部分で解明されていない。本研究はこの問題に対して免疫染色技術を用いて腎細胞癌中の新生血管の構造を解析するとともに、血管新生のメカニズムを解明する事を目的とする。腎細胞癌患者の原発巣切除検体および転移性腎細胞癌患者の転移層切除検体より、癌部および正常組織を採取し、4-・mパラフィン標本を作製した。二重免疫染色として、血管内皮細胞のマーカーであるmouse anti-human CD34 antibodyおよび血管周皮細胞のマーカーであるrabbit anti-human SMA antibodyを用いて、作成したパラフィン標本の2重免疫染色を行なった。二次抗体として3,3-diaminobenzidine (DAB)でラベルされたrabbit anti-mouse multimer (for CD34)およびalkaline phosphatase (AP)でラベルされたanti rabbit multimerを用い、Counterstainingとしてhematoxylinを用いた。染色された標本は腫瘍の辺縁部と中心部に分けて評価。顕微鏡観察下(200・)でもっとも血管数が多い部位を5箇所Pick upしてNuance multispectral imaging system(Cambridge Research & Instrumentation,Inc)を用いてデジタル画像として取り込んだ後、独自で開発した解析ソフトを用いて、血管内皮膚細胞および血管周皮細胞を測定し検討を行なった。
|