ヒトプロト型H-rasゲノムを導入したトランスジェニックマウスrasH2とそのlittermateの野生型に0.05%BBNを25週間経口投与し、膀胱発癌を検討した。全て6週齢のマウスを実験に使用する。BBNをTween80にて溶解し、水道水で調製した0.05%BBN含有水をマウスに10週間経口自由摂取させる。BBN投与終了5-40週まで10週おきに尿路を摘出し、膀胱重量測定、腫瘍個数計測、水腎症の有無、尿路上皮腫瘍の病理学的検索(免疫染色を含む)を行った。rasH2、野生型共に♂5匹、♀5匹を用いた。25週間投与にてrasH2、野生型共に全てのマウスで膀胱発癌が確認された。深達度は野生型、rasH2ともに2例が浸潤性膀胱癌であった以外はすべて筋層非浸潤性であった。摘出膀胱重量中央値はrasH2(122mg)が野生型(73mg)比べて有意に重かった(P<0.05)。以上の結果よりrasH2は野生型と比べてBBN膀胱発癌に感受性が高く、膀胱癌、特に筋層非浸潤性膀胱癌のモデル動物として優れていると考えられた。 ヒト膀胱癌症例におけるテストステロン値を検討した。TUR-Btを施行し表在性膀胱癌と診断された180例中男性症例146例を対象とし血清テストステロン値を検討した。再発あり群と再発なし群で年齢(再発あり群:67.2±12.4歳、再発なし群:68.1±10.2歳、p=0.7244)および遊離テストステロン(再発あり群:5.9±2.0、再発なし群:68.1±10.2歳、p=0.7244)に差を認めなかったが、テストステロン値を比較すると、有意に再発あり群の方が低かった(再発あり群:411.8±194.4ng/ml、再発なし群:515.9±214.9ng/ml、p=0.0396)。
|