研究課題
近年、検査技術の発達、分子標的薬の登場により、腎癌の診断、治療は大きく変化を遂げている。分子標的薬の登場により腎腫瘍治療オプションが増え、今後、個々の予後予測因子に基づくオーダーメイドな治療選択が必要であろう。早期腎癌の予後は良好であるとされる一方で、初診時転移を有する腎癌患者は30%にのぼるとされ、その予後は満足できるものではない。腎癌の予後に寄与する因子については多くの報告がみられるが、ほとんどが欧米地域での報告であり、発生頻度がことなる本邦でこれらの因子が寄与するかどうかは、調査の余地がある。そこで大阪医科大学病院泌尿器科において過去に根治的腎摘除術を施行した腎癌患者の背景と,生存に寄与する因子を探ることとした。対象ならびに方法としては過去8年間に根治的腎摘除術を施行した172例の腎癌患者のうち、3年生存率が判定可能であった123例を対象とした。腎癌取り扱い規約に基づき臨床統計を行った。その結果、症例の内訳は男性81例、女性42例で、年齢は21歳から86歳で(平均60.6歳)、全例が外科的に根治的切除を施行されており、術後にそのうち41例にインターフェロン投与を施行されていた。年齢、性別、病理学的浸潤様式、脈管浸潤の有無、リンパ管浸潤の有無、Grade、遠隔転移の有無に関して施行したChi-square testの結果、3年生存率には遠隔転移の有無が有意に関与していた。したがって遠隔転移の有無が当院の腎癌患者の重要な予後決定因子であった。今後、より症例を増やして検討を加える予定である。さらにこのデータベースを基本に、手術標本を用いてストレスシグナル関連のタンパク質を染色し患者生存に寄与する因子となりうるのか決定する予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件)
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