子宮内膜および末梢血における免疫担当細胞の機能分担と機能発現、特にNK細胞表面に発現するNatural Cytotoxicity Receptors(NCRs)とNK細胞産生サイトカインの妊娠成立および妊娠維持に関する役割を明らかにすることを目的に検討を行い、以下の結果を得た。 1.NK細胞におけるNCRs発現およびサイトカイン産生 子宮内膜におけるCD56^+/NKp46^+発現はRecurrent pregnancy loss(RPL)群でコントロール群に比して有意に低値であった。また子宮内膜NK細胞におけるIFN-γ産生とTNF-α産生はRPL群でコントロール群に比して有意に低下していた。すなわちRPL群では胎盤形成における血管のリモデリングに異常を来しているものと思われた。 2.末梢血NCR陽性NK細胞と子宮内膜NCR陽性NK細胞との相関 末梢血と子宮内膜におけるNKp46陽性NK細胞およびNK44陽性NK細胞には有意な正の相関を認めたが、NKp30陽性NK細胞には相関を認めなかった。これより末梢血NKp46^+NK細胞およびNKp44^+NK細胞は子宮内膜NKp46^+NK細胞およびNKp44^+NK細胞を反映していることが明らかとなった。 3.NK細胞におけるNCRs発現とNK細胞産生サイトカインとの関連性 末梢血および子宮内膜でCD56^+/NKp46^+細胞を磁気細胞分離法で回収することができた。さらにIFN-γ^+NK細胞、特にTNF-α^-/IFN-γ^+NK細胞の主たる産生源がCD56^<bright>/NKp46^<bright>細胞であること、TNF-α^+NK細胞、特にTNF-α^+/IFN-γ^-NK細胞の主たる産生源がCD56^<dim>/NKp46^<dim>細胞であることが明らかとなった。RPL患者では末梢血中のCD56^<bright>/NKp46^<bright>細胞におけるTNF-α^-/IFN-γ^+NK細胞が有意に減少しており、IFN-γが生殖ロスに関与していると考えられた。
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