研究概要 |
免疫染色によるバゾヒビン遺伝子・血管新生関連遺伝子の組織内発現局在の解析 各組織のホルマリン固定後パラフィン包埋標本を用いて、バゾヒビンをはじめとする血管新生関連遺伝子(VEGF,VEGF-R1,VEGF-R2,D2-40)の蛋白発現を検討を行った。子宮頸部扁平上皮病変を段階的に解析するために正常頸部35例・上皮内癌38例・扁平上皮癌61例・腺癌18例を対象とした。血管密度は上皮内癌・扁平上皮癌・腺癌で正常頸部よりも有意に高かった。リンパ管密度も上皮内癌・扁平上皮癌・腺癌で正常頸部よりも有意に高かった。血管内皮におけるVEGFR-2(VEGF receptor-2)の発現頻度は扁平上皮癌・腺癌で正常頸部よりも有意に高かった。血管内皮におけるバゾヒビンの発現頻度は扁平上皮癌・腺癌で正常頸部よりも有意に高かった。これらより扁平上皮癌および腺癌においては血管新生・リンパ管新生が盛んであり血管内皮細胞の増生能力も亢進していることが明らかとなった。子宮頸癌の局所でのこれらの結果より、頸癌においてバゾヒビンによる血管新生抑制による腫瘍効果が期待されることが示唆された。 子宮頚癌の新規腫瘍マーカーとしてのバゾヒビンの応用 子宮頸部扁平上皮病変で手術を受けた患者の手術前血清を用いて血中バゾヒビン濃度の測定を行った。測定は研究協力者である佐藤教授の教室で開発したバゾヒビン濃度を測定するELISA法を用いた。上皮内癌86例・扁平上皮癌83例の患者の血中バゾヒビン濃度と病理データおよび臨床データとをつきあわせて検討した。結果として、進行期とバゾヒビン濃度に負の相関が確認された。これによりバゾヒビンの血中濃度測定が子宮頸癌の腫瘍マーカーとして治療の効果判定や予後因子としての有用性が示唆された。
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