正常扁平上皮から上皮内癌、扁平上皮癌と腫瘍が進行するにつれて間質での血管密度・リンパ管密度・vasohibinおよびVEGFR-2の発現頻度が上昇する傾向が明らかとなった。また、悪性度の高い腺癌において扁平上皮癌以上にそれらが上昇する傾向が認められた。 正常頸部・上皮内癌・扁平上皮癌の間質血管内皮でのvasohibinとVEGFR-2との発現頻度の間には弱い相関を認めた。VEGF-AのH scoreでは扁平上皮癌が・正常扁平上皮と上皮内癌よりも優位に高かった。 子宮頸部における扁平上皮病変では、正常・上皮内癌・浸潤がんの間質での血管密度・リンパ管密度は上昇し血管内皮でのVEGFR-2、Vasohibinの発現も上昇していることが明らかとなった。また、腺癌では扁平上皮癌よりも血管密度・リンパ管密度が上昇し血管内皮でのVEGFR-2、Vasohibinの発現も上昇していることが明らかとなった。 今回の検討で子宮頸癌では血管新生・リンパ管新生が亢進しており、腫瘍血管でのVEGFR-2、Vasohibinの発現も上昇していることから、扁平上皮癌および腺癌どちらの子宮頸癌の治療にもVasohibinが有用である可能性が示唆された。これらの結果は論文にて発表した。 その後、ELISAを用いた頸癌患者の血漿中のVasohibinタンパク濃度の測定を試みたが抗体の安定性や検体の劣化(東日本大震災によりディープフリーザーの電源が一週間ほど失われてしまいました)なども重なり、本研究期間中に結果を提示することができなかった。 今後も新規の子宮頸癌の患者に同意を得て、血漿のサンプリングを続けて再度vasohibinのELISA測定を試みたいと考えている。
|