研究課題
〈目的〉がん治療の新たなデバイスである高分子ミセル型ナノキャリアの技術を新規抗悪性腫瘍薬プロテアソームインヒビター(PI)に応用することで効果を高め、副作用を減弱させた薬剤の開発・検証を行う。また、薬剤の安定性、血管滞留性、腫瘍組織への選択的集積性などをリアルタイムで映像化する技術を用いてミセル化PIの体内動態を検証する。〈成果〉ミセル化PI (MG132ミセル)を東京大学臨床医工学部門片岡研究室の協力を得て開発した。その効果を調べるためHela担癌マウスを用い、非ミセルMG132と比較した。その結果、ミセル化することにより薬剤の効果が増強し、副作用が減少していることを示した。また、薬剤の安定性、血管滞留性、腫瘍組織への選択的集積性などをリアルタイムで映像化する技術の開発にも上記研究室と協力し取り組んだ。腫瘍組織及び他の臓器への薬剤の取り込みを,共焦点顕微鏡リアルタイムイメージングシステムを用いて撮影し、組織への薬剤の取り込みや作用時間を比較した。ミセル化PIは、投与後腫瘍組織内の新生血管に深く浸透し、腫瘍細胞内に多く、長時間取り込まれることが示された。ナノミセルを用いた新たな薬物治療のがん領域への臨床応用に対する可能性が示された。研究成果は第3回国際ナノバイオ学会にて発表した。またNikonハイデルベルグイメージングセンターおよびCarl Zeiss micro imaging centerからの招待レクチャーを行った。
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Biomedical optics express
ページ: 1209-1216