研究概要 |
ヒト胎盤EVT(extravillous trophoblast)におけるGnT-V発現が、付着絨毛内の増殖型から浸潤型へ減弱するメカニズムを解明するために、脱落膜上清添加によるGnTAV発現の変化を確認した。脱落膜を洗浄、細切し、1.7gに対して2.5mlの培養液を加え、24時間培養し、培養上清を回収した。EVT細胞株HTR-8/SVneoの培養液中に、脱落膜上清を0%,0.1%,1%添加、48時間培養し、回収した細胞におけるGnT-Vの発現をRT-PCRおよびWestern blotにて確認したところ、いずれの濃度においでも、mRNAレベル、タンパクレベルともに抑制された。 次に、脱落膜で分泌されるサイトカインのなかでGnT-V発現に影響を与えるものを同定するため、HTR-8/SVneoにTGF(transforming growth factor)-β、IL(interleukin)-6、IL-β、INF (interferon)-γを1ng/ml添加し、48時間培養後に回収した細胞におけるGnT-V発現変化を検討したととろ、TGF-β添加では発現が抑制されたが、その他のサイトカイン添加では変化は認めなかった。さらに、TGF-βを0,0.1,1,10ng/mlの濃度でHTR-8/SVneoに添加し48時間培養したところ、全ての濃度においてGnT-Vの発現は、mRNAレベル、タンパクレベルともに抑制された。 EVT浸潤に影響を与える因子として、低酸素下(1%)での培養に上るGnT-V発現変化確認した。妊娠初期絨毛による初代培養から得られた培養EVTに、TdF-βを0または1ng/mlにて添加し48時間培養後に固定し、免疫組織染色法にてGnTAVの発現の変化を確認したが、TGF-β添加による発現変化は認めなかった。次に、HTR-8/SVneoを酸素濃度20%および1%にて培養したところ、通常酸素下(20%)に比べて低酸素下(1%)では、24時間、48時間後ともに、mRNAおよびタンパクレベルでのCnT-V発現の増強を認めた。
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