研究概要 |
CRH関連ペプチドとして、urocortin1 (Ucn1), stresscopin (SCP)/urocortin3 (Ucn3), stresscopin-related peptide (SRP)/urocortin 2 (Ucn2)が発見され、CRHR1およびCRHR2という2種類の受容体にそれぞれ異なる結合能で結合し、CRHと同様に生体のストレス反応に関与することが解明されつつある。本検討はすべて、神戸大学大学院医学系研究学科医学倫理委員会の承認のもと、インフォームドコンセントの後に施行した。昨年度、SCP/Ucn3の培養ヒト黄体化顆粒膜細胞のプロゲステロン産生に与える影響を検討するため、SCP/Ucn3添加前後の培養液中プロゲステロン値の変化をELISA法で測定した。SCP/Ucn3添加により培養ヒト黄体化顆粒膜細胞でのプロゲステロン産生を抑制した。本年度は、初期の子宮癌手術で摘出されたヒト正常卵巣および不妊治療患者(男性因子と卵管因子)の卵胞液から分離培養したヒト黄体化顆粒膜細胞におけるSRP/Ucn2の存在を、RT-PCRで検討した。ヒト正常卵巣ならびにヒト黄体化顆粒膜細胞では、SRP/Ucn2のmRNA発現を認めた。SRP/Ucn2の培養ヒト黄体化顆粒膜細胞における局在を免疫染色法で検討したが、抗体の特異性が悪く、明らかなタンパクレベルでの存在は明らかではなかった。また、SRP/Ucn2の生物活性の検討のためヒト黄体化顆粒膜細胞にさまざまな濃度で添加した。現在までのところ、SRP/Ucn2は添加前後の培養液中プロゲステロン値は濃度依存性に抑制されている傾向を認めた。現在、アンタゴニストを添加することで、この作用がCRHR2を介するものであるかどうかを検討している。
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