難治性習慣性流産をおこす母親とその両親の6家系について末梢血白血球より抽出したDNAを対象として、Affymetrix社Genome-Wide Human SNP 6.0アレイを用いて(平均プローブ間距離約3kb)ゲノムコピー数を解析した。なお、解析はGenotyping consoleソフトウェアを使用し、refferenceとして日本人正常コントロール45人を用いた。我々はfalse positiveが除外可能であり、かつ微細なコピー数異常を検出するために最低5つ以上のプローブが含まれる10kb以上のコピー数変化を解析対象領域とし、各症例の母親で約40~600箇所のコピー数変化を検出した。このうち疾患とは関連性がなく、正常人でコピー数変化が報告されている既知のコピー数多型を除外し、かつde novoのCNVまたは父由来CNVに限定して候補領域を検索するとのべ49箇所検出した。父由来のCNVを解析対象とした理由は、男性の場合には何ら問題ないが、女性でこれを受け継いだ場合に、このCNVが原因で妊娠継続が困難になる可能性を考慮する必要があるからである。さらに遺伝子機能等が個体発生に関連する可能性があるとされる6箇所に限定された。その中には細胞周期に関連する遺伝子やノックアウトマウスでは個体発生に影響するという遺伝子なども含まれている。今後real-time PCRによるコピー数検証作業等の原因遺伝子探索を行う予定である。
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