研究課題
正常妊娠・妊娠合併症における脂肪細胞の機能と絨毛細胞に与える影響を証明するため、脂肪細胞由来のサイトカイン(アディポサイトカイン)、特にインスリン感受性・抗炎症作用に与るサイトカインであるアディポネクチンについて、その動態と他のアディポサイトカインの関与を確立するため研究を進めている。妊娠高血圧妊婦について血清の採取を行い、各種アディポサイトカインの測定を行い、アディポネクチン分泌に影響を与える因子を抽出する解析を行ったところ、遊離脂肪酸(FFA)が影響を与えることが示唆された。引き続いてこれを添加しての実験を行うため、脂肪細胞および絨毛細胞を用いての実験系を確立し検討を進めている。この過程で、絨毛細胞についてはこれまでに確立した分離方法を論文として発表し、世界的にもその信頼性が認められた。また妊娠糖尿病妊婦についての研究に先立ち、正常妊婦でのインスリン抵抗性とアディポサイトカインの推移を確立することとし、正常妊婦において妊娠経過中に連続して採血した例を蓄積して、これら血清中の総アディポネクチン・多量体(高活性型)アディポネクチンの濃度を測定して、妊娠経過中に正常妊婦でこれらが有意に低下してインスリン抵抗性に関与することを証明した。さらにインスリン抵抗性マウス(IRAP-KO)の飼育を開始しており、妊娠によってインスリン抵抗性がどのように変動するのか、動物実験によっても明らかにすることを目指している。本研究は妊娠高血圧や妊娠糖尿病といった妊娠合併症の病態を解明し、早期の発症予知と治療法の開発を目指すものであり、そのために重要な知見が多く得られており、意義ある研究となっている。
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Placenta Epub Ahead of Print
Placenta 30
ページ: 398-404
Life Science 84
ページ: 668-672