研究概要 |
【方法】Aurora-Aを高発現し、タキサン製剤に抵抗性を示すHEC1B細胞をヌードマウスの皮下に移植し腫瘍を形成させた。このマウスに対し、パクリタキセル(20mg/kg)の腹腔内投与とアテロコラーゲンによるAurora-A siRNAの腫瘍への局所投与を2日おきに繰り返し、腫瘍体積の変化を経時的に測定した(n=5)。さらに、パクリタキセル、Aurora-A siRNA、コントロールsiRNA、コントロールsiRNA+パクリタキセルの各群(すべてn=5)の腫瘍体積と比較した。さらに、腫瘍体積の変化をin vivoイメージングにより観察し、評価可能か検討した。また、腫瘍組織のアポトーシスについてTUNEL法により検討した。 【成績】薬剤投与後28日目において皮下腫瘍の体積は,Aurora-A siRNA+パクリタキセル(A+P)群において、コントロールsiRNA+パクリタキセル(C+P)群を含む他の4群に比し有意に低下していた(p<0.1)。皮下腫瘍におけるアポトーシスindexはA+P群で最も高く、C+P群と比べても有意に増加していた(p<0.05)。in vivoイメージングによる測定でも、腫瘍径は実測値とほぼ一致し、抗腫瘍効果の評価は可能であった。 【結論】Aurora-A siRNAは、in vivoにおいて子宮体癌細胞に対するタキサン製剤の抗腫瘍効果を増強することから、Aurora-Aを分子標的とする核酸医薬の可能性が示唆された。 特にAurora-Aは、子宮体癌の中でも治療抵抗性を示す、低分化型腺癌での過剰発現が多く認められることから、Aurora-Aを標的とする治療法は、子宮体癌の予後改善に大きく貢献すると考えられる。
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