鼻性NK/T細胞リンパ腫の病理学的な特徴として、腫瘍細胞は細胞集塊をつくらずび漫性に浸潤し、周囲に炎症細胞が混在していることが挙げられる。種々ある炎症細胞の中でも好中球と単球が有意に浸潤しており、我々は鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株と好中球あるいは単球を共培養することにより浸潤炎症細胞が腫瘍細胞にどのように関与しているか検討を行った。その結果、好中球との共培養では細胞株に変化は認められなかったが、単球との共培養により細胞株の細胞増殖能亢進とLMP1の発現亢進が認められた。これらの亢進はトランスウェルを用いた検討にて細胞間接着が必要であることが明らかとなった。単球はその細胞表面上に膜型IL-15を発現することが知られており、我々の以前の検討にてIL-15が本細胞株の増殖亢進とLMP1発現亢進を促すことが判明していたため、膜型IL-15の発現を検討した。その結果、培養後の単球上に膜型IL-15の発現が認められ、IL-15の阻害抗体を用いた検討にて増殖能、LMP1発現亢進が抑制された。このことから、LMP1の発現亢進因子は以前我々が見いだしたIL-2、IL-10、IL-15などの液性因子だけではなく、単球などの細胞接着も関与している可能性が示唆された。また昨年報告したLMP1によって発現が亢進するIP-10(Interferon gamma-induced protein-10)は単球遊走能を亢進させる作用があり、単球、IP-10を介したLMP1のpositive feedback loopが存在する可能性が示唆された。
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